花さき山

            「花さき山」
                              斎藤隆介作
 
   
  おどろくんでない。
  おらは この山に ひとりで すんでいる ばばだ。
  山ンばと いうものも おる。
  山ンばは わるさを すると いうものも おるが、
  それは うそだ。
  おらは なんにもしない。
  おくびょうな やつが、 山ンなかで
  しらがの おらを みて かってに あわてる。
  そしては べんとうを わすれたり、
  あわてて 谷さ おちたり、
  それが みんな おらの せいになる。

  あや。 おまえは たった十の おなゴわらし
  だども、しっかりもんだから、
  おらなんど おっかなくはねえべ。
  ああ、おらは、なんでも しってる。
  おまえの なまえも、
  おまえが なして こんな おくまで
  のぼって きたかも。
  もうじき 祭りで、 祭りの ごっつぉうの
  煮しめの 山菜を とりに きたんだべ。
  ふき、わらび、みず、ぜんまい。
  あいつを あぶらげと いっしょに 煮ると
  うめえからなァ。

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